税効果会計の対象

税効果会計の適用が任意の会社

税効果会計の適用が任意とされている会社とは、主に中小企業です。

中小企業については金融商品取引法の適用を受けないため税効果会計の適用は任意です。

なお、中小企業はその多くが税務会計ベースで会計処理を行っているため、会計と税務にズレがほとんど発生しないのが普通です。その結果、税効果会計を適用してもしなくてもほとんどの場合で重要な影響がない場合が多いです。

しかし中小企業といえども、重要性の高い一時差異があるような場合には積極的に税効果会計を適用するべきです。理由は次のとおりです。

中小企業とは

まず最初に中小企業とは何なのか。会計学上、具体的な定義はありませんが、主には大会社以外がそれに該当することになります。

中の人
中の人
法人税法上、中小企業者等として中小企業の定義がありますが、税効果会計は会計基準であるため法人税法上の定義は関係ありません。

具体的には、株式公開会社商法上の大会社、その他会計監査人を設置している会社の三種類が金融商品取引法の適用を受ける大会社になりますので、これらいずれにも該当しない会社が中小企業になります

中小企業と言われると一般的には町工場とか町の小さなスーパーなどが連想されますが、有名どころとしては繊研新聞の記事によると次の通りです。

日本マクドナルド(1億円)、ヨドバシカメラ(3,000万円)、ジャパネットたかた(3億円)、アイリスオーヤマ(1億円)、東急百貨店(1億円)などなど。

また、一般的に知名度はなくても株式公開会社に匹敵するような売上規模がある会社、株式公開を目指している会社等もあります。

中小企業であっても税効果会計を適用するべき理由1

日本税理士会や経団連等が中小企業向けに「中小企業の会計に関する指針」というものを公表しています。この指針は強制力は一切ないため、これに従った経理処理を行なうかどうかはあくまでその会社の任意となります。しかしできるだけ「中小企業の会計に関する指針」に従った経理処理を行なうことが望ましいとされています。

また、中小企業が銀行融資を申し込む際にはこの指針にしたがった会計処理を行っていることを示すチェックリストを提出すると借入金利が低くなる等の恩恵が受けられる場合があります。

中小企業であっても税効果会計を適用するべき理由2

中小企業であっても税効果会計を適用すべき理由にはもう一つあります。

それは、税効果会計を適用するとほとんどのケースで繰延税金資産が計上されることになり、純資産が増加します。純資産が増加すると、自己資本比率が高くなり貸借対照表の財務健全性が向上します。

繰延税金資産なんてそんなもの単なる計算上の資産ではないのかと考える方もいるかもしれませんがそれはナンセンスです。税効果会計は上場企業において適用が強制されている会計基準であり、中小企業においては適用が強制されていないものの日本税理士会等が適用すべきとしている会計基準です。

したがって繰延税金資産は適正な会計基準を適用した結果計算された純正な資産だと胸をはって主張できます。

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