一時差異とは、この会計と税務のズレのうち、いずれ解消するものをいいます。いずれ解消する差異であるから一時的な差異=一時差異です。
一時差異は将来減算一時差異、将来加算一時差異、スケジューリング不能な一時差異に分類されます。
今回はそのうち将来減算一時差異について解説です。
将来減算一時差異とは
将来減算一時差異とは一時差異のうち、当該一時差異解消時において課税所得を減額する効果を持つものをいいます。
将来減算一時差異は発生時に税務調整によって課税所得を構成しますが解消時に利益積立金から減額されることによって課税所得から減算されます。
将来減算一時差異の具体例
- 減価償却超過額:会計上の減価償却費を税法上の償却限度額以上に償却した場合のその超過額
- 貸倒引当金繰入超過額:企業が回収可能性が低いと見込まれる債権について決算で引当金処理したが、税法上の貸倒引当金の要件に該当しないため全額否認された場合のその否認額
- 売上計上漏れ:税務上計上すべき売上高が計上されていなかったことによる計上漏れ
- その他有価証券の評価差額:会計上、その他有価証券を評価替えした際に純資産の部に記載されたもの
- 繰越欠損金:欠損金のうち翌事業年度以後に繰り越すことができるもの
- 繰越外国税額控除:外国税額が控除限度額に満たなかった場合に翌期以降3年間繰り越すことができるもの
- 事業税の未払計上額:決算で事業税を未払計上したもの
将来減算一時差異がある場合の税効果会計処理
将来減算一時差異は差異解消事業年度に法人税等の税金の減額をもたらすベネフィットがあります。
したがって将来減算一時差異が発生した事業年度においては税金の前払が発生していることになります。
そこでその税金の前払いに相当する額を貸借対照表の資産の部に繰延税金資産として計上します。
繰延税金資産は将来減算一時差異が解消する事業年度に消去されます。