税効果会計とは

税効果会計導入の背景

2024年12月8日

税効果会計導入の背景

ある事業年度において、重要な一時差異が発生した場合に税効果会計が適用されていないときは、一時差異の発生事業年度一時差異の解消事業年度の両方の事業年度において損益計算書上、実効税率とはかけ離れた法人税等の額が計上されてしまいます。

なぜなのかはこちら↓

税効果会計の具体例

税効果会計とは、会計上の利益(税引前当期純利益)と税務上の利益(課税所得)にズレがある場合において、会計上の利益(税引前当期純利益)に見合った税金費用が損益計算書に計上(法人税等として計上)されるよう ...

つまり、一時差異により、会社の業績とは無関係に損益計算書の最終利益である当期純利益が乱高下してしまう結果になります。これは会社の公表する財務諸表の数字を見て株式投資を行なっている投資家にとってはとても困ることです。

端的にいいますと以上のようなな理由から税効果会計が導入されるにいたりました。

一時差異の発生は申告書を見れば分かる

一時差異法人税申告書別表5を見ればおおむね内容を把握することができます。

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税効果会計導入の背景

税効果会計導入の背景 ある事業年度において、重要な一時差異が発生した場合に税効果会計が適用されていないときは、一時差異の発生事業年度と一時差異の解消事業年度の両方の事業年度において損益計算書上、実効税 ...

したがって企業外部の利害関係者であっても、その会社の申告書を見ることができる銀行等の債権者であれば一時差異の発生とその解消見込み年度をある程度予測することができるため問題がありません。しかし投資家は申告書を見ることができません。

したがって、税効果会計が導入されていなかった時代には、投資家は一時差異の発生と解消を知りうる術が一切ありませんでした。

中の人
中の人
具体的には例えば、日産自動車に融資している銀行は日産自動車に要望すれば毎年法人税申告書の提出を要求することができます。それに対して投資家は、日産自動車の株式を購入しようか検討しているからといって日産自動車に法人税申告書の提出を要求することなんてできませんよね?

そこで困った投資家団体が会計団体等に法人税の実効税率とのズレがいずれ解消するものであるならばあらかじめそのズレを慣らした状態(下の図解の右側の状態)で損益計算書を公表してほしいと要望を行い、税効果会計が会計基準として導入されるに至ったと言われています。

税効果会計が導入された背景

銀行等の債権者は申告書の提出を要求できる

銀行などの債権者は会社から銀行融資等の申込を受けた時点で会社に対し、過去の3期分くらいの決算書と申告書の提出を必ず求めます。さらに融資期間中、毎事業年度の決算書と申告書の提出を企業に求めることもできます。

したがって銀行などの債権者は法人税申告書を見ることができる仕組みになっています。

参考ですが、会社が銀行融資を申し込むと必ず3期分の決算書と申告書の提出を求められます。銀行は提出を受けた申告書の別表5を見て会計処理と税務処理との差、すなわち減価償却費を限度額まで計上せず少なめに計上して利益を作っていないかどうか等、利益操作を行なっていないかどうかを確認しています。

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