税効果会計について簡単にやさしく解説
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繰延税金資産

繰延税金資産とは、税効果会計を適用している場合において、将来減算一時差異が生じたことにより発生した法人税の前払いでその差異が解消する会計期間まで繰延処理するために貸借対照表に計上された資産です。


法人税率が引き下げられると企業業績が下がる?

ここ数年ずっと法人税率の引き下げが頻繁に行われています。法人税率が引き下げられると企業側にとっては法人税の負担が減少するため普通に考えればプラスのメリットがあるはずです。

しかし、よくニュースでよく耳にするのが、法人税率引き下げによって業績の下方修正を行ったというものです。政府は法人を優遇するために法人税率の引き下げを政策としておこなっています。それなのに業績の下方修正とは変だと思いませんか?


法人税率が引き下げられると企業業績が下がるカラクリ

繰延税金資産は、その計上時点において将来における差異解消時点で見込まれる法人税の軽減額、すなわち税金の前払効果部分に資産性を見出し資産として計上したものです。

そして繰延税金資産として計上する金額は「一時差異×実効税率」で計算されます。したがって法人税率の引き下げが行われると、上の算式の実効税率部分が減少します。それに伴って法人税等の前払効果が減少し、繰延税金資産を取り崩す必要がでてきて減収要因となるのです。

簡単な具体例をあげますと、100万円の将来減算一時差異について差異解消が見込まれる10年後の実効税率が40%と見込まれる場合の繰延税金資産は40万円(100万円×40%)となります。

この40万円は貸借対照表に繰延税金資産として計上されますが、それから5年後に法人税率が30%に引き下げられた場合には、差異解消時点で見込まれる法人税等の前払い効果が30万円(100万円×30%)に減少するため繰延税金資産を30万円(100万円×30%)に取り崩さなければならないこととなります。


繰延税金資産の計算

繰延税金資産は、将来減算一時差異法定実効税率を乗じて計算します。

なお、将来減算一時差異のうち、差異が1年以内に解消すると見込まれるものに対して計上される繰延税金資産は貸借対照表流動資産の区分に計上し、それ以外の繰延税金資産は固定資産の区分に記載されます。


一時差異が発生しても繰延税金資産を計上しない場合がある

繰延税金資産は将来的に継続して赤字が見込まれる場合には差異解消時において課税所得を減額する効果が見込めないことから繰延税金資産として計上せず、税効果会計の対象としません。


繰延税金負債

繰延税金負債とは、税効果会計を適用している場合において、将来加算一時差異が生じたことにより発生した法人税の未払い当期にを見越処理するため貸借対照表に計上された負債です。将来加算一時差異には特別償却準備金の積立や売上原価計上漏れ等が該当します。

これら将来加算一時差異の発生により当期の課税所得が減少し当期の法人税の納付額が減少することとなりますが、差異解消時において課税所得を増額させる効果を有します。したがって当期に負担すべき税金費用を将来の会計期間に繰り延べたと考え、これを負債に計上します。


永久差異

なお、税効果会計の対象としない永久差異については、交際費の損金不算入額のように当期の所得金額を増加させますが、将来の課税所得を減少(または加算)させる効果がないため繰延税金資産(または繰延税金負債)として計上しません。これには次のようなものが該当します。


項目 内容
交際費等の損金算入限度超過額 会社が支出した交際費等の金額のうち、法人税上の損金算入限度額を超える部分の金額
寄付金の損金不算入額 会社が支出した寄付金の金額のうち、法人税上の損金算入限度額を超える部分の金額
損金経理延滞税等 延滞税等の租税公課については、法人税上損金とならない
受取配当金の益金不算入額 会社が受け取った配当等の額のうち、一定額は益金に算入されない


税効果会計の解説目次

税効果会計の適用対象

税効果会計の手順

税効果会計の計算エクセルシート

税効果会計の影響

税効果会計の仕訳と税務調整等

その他メリット等




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