税効果会計について簡単にやさしく解説
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税効果会計の仕訳等





繰延税金資産

繰延税金資産とは、税効果会計を適用している場合において、将来減算一時差異が生じたことにより発生した法人税の前払いをその差異が解消する会計期間まで繰延処理するため貸借対照表に計上された資産です。

将来減算一時差異には引当金繰入超過額や減価償却超過額等が該当します。

将来減算一時差異が発生すると法人税申告書において加算調整されるため、当期の課税所得が増加し当期の法人税の納付額が増加します。

しかし、将来の差異が解消する事業年度においては逆に認容減算されるため課税所得が減少し、その差異解消事業年度の法人税等の納付額が減少します。

そこで、将来の事業年度に帰属すべき税金費用を当期に前払いしたと考え、繰延税金資産として資産計上します。

繰延税金資産を計上すると資産が増加するため純資産が増加し、自己資本比率も上昇し対外的な財務健全性が向上するプラスの効果があります。

類似項目に繰延税金負債がありますが、繰延税金資産は将来減算一時差異が生じたことにより処理される項目であるのに対して繰延税金負債は将来加算一時差異が生じたことにより処理される点で正反対となります。



法人税率が引き下げられると企業業績が下がる?

昨今、日本の法人税率を海外諸外国並みに引き下げようと法人税率の引き下げが頻繁に行われています。法人税率が引き下げられると企業側にとっては法人税の負担が減少するため普通に考えればプラスのメリットがあるはずです。

しかし、よくニュースでよく耳にするのが、法人税引き下げによって業績の下方修正を行ったというものです。

政府は法人優遇のために法人税率の引き下げを政策としておこなっています。つまり、トータルして考えると企業側にとって法人税率引き下げはメリットがかなり大きいはずで実際とても大きなメリットがあります。しかし、決算書上は減益要因となり、業績を下方修正しなければならないこととならないという、ちょっと意味が分からない事態となっています。

なぜこのように一見すると政府の思惑とは正反対なことになってしまうのか、その原因が繰延税金資産です。



法人税率が引き下げられると企業業績が下がるカラクリ

繰延税金資産は、その計上時点において、将来の差異解消時点で見込まれる法人税負担の軽減額、すなわち税金の前払効果部分に資産性を見出し資産として計上します。

したがって、法人税率の引き下げが行われると、既に計上された繰延税金資産の法人税等の税金の前払効果が減少するため、繰延税金資産を取り崩す必要があるため減益要因となるのです。

簡単な例ですと、100万円の将来減算一時差異について再解消予定の10年後の実効税率を40%と見込んで計上される繰延税金資産は40万円(100万円×40%)となります。

この40万円は貸借対照表に繰延税金資産として計上されますが、その5年後に法人税率が30%に引き下げられた場合には、この計上している繰延税金資産40万円を30万円に取り崩さなければなりません。理由は、将来減算一時差異が認容される時点の法人税等の減少効果が30万円(100万円×30%)に減少しているからです。


繰延税金資産の計算

繰延税金資産は、将来減算一時差異法定実効税率を乗じて計算します。なお、将来減算一時差異のうち、差異が1年以内に解消すると見込まれるものに対して計上される繰延税金資産は貸借対照表の流動資産の区分に計上し、それ以外の繰延税金資産は固定資産の区分に記載されます。



繰延税金資産の計上

繰延税金資産は、次期以後に繰り越され当期及び将来の法人税等の調整をすることとなりますが、将来的に継続して赤字が見込まれる場合には差異解消時において課税所得を減額する効果が見込めないことから繰延税金資産として計上せず、税効果会計の対象としません。



繰延税金負債

繰延税金負債とは、税効果会計を適用している場合において、将来加算一時差異が生じたことにより発生した法人税の未払い当期にを見越処理するため貸借対照表に計上された負債です。将来加算一時差異には特別償却準備金の積立や売上原価計上漏れ等が該当します。

これら将来加算一時差異の発生により当期の課税所得が減少し当期の法人税の納付額が減少することとなりますが、差異解消時において課税所得を増額させる効果を有します。したがって当期に負担すべき税金費用を将来の会計期間に繰り延べたと考え、これを負債に計上します。



永久差異

なお、税効果会計の対象としない永久差異については、交際費の損金不算入額のように当期の所得金額を増加させますが、将来の課税所得を減少(または加算)させる効果がないため繰延税金資産(または繰延税金負債)として計上しません。これには次のようなものが該当します。


項目 内容
交際費等の損金算入限度超過額 会社が支出した交際費等の金額のうち、法人税上の損金算入限度額を超える部分の金額
寄付金の損金不算入額 会社が支出した寄付金の金額のうち、法人税上の損金算入限度額を超える部分の金額
損金経理延滞税等 延滞税等の租税公課については、法人税上損金とならない
受取配当金の益金不算入額 会社が受け取った配当等の額のうち、一定額は益金に算入されない


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